8月7日に発表された7月の雇用統計は、ほとんど誰も想定していなかった数字だった。米企業はエコノミストが8万人の増加を見込んでいた月に2万3000人分の雇用を削減したのだ。それでもS&P500は上昇して取引を終えた。
この一文の両方の側面には、じっくり向き合う価値がある。というのも、後半部分は決して不合理な反応ではないからだ。
わずか一回の発表に凝縮された、四半期分の悪化
| 指標 | 2026年7月 | 予想 |
|---|---|---|
| 非農業部門雇用者数 | −2万3000人 | +8万人 |
| 6月分雇用者数(修正後) | +2万人 | 当初発表は+5万7000人 |
| 失業率 | 4.1% | 前月は4.2% |
| 平均時給(前年比) | 3.2% | 3.5% |
この下方修正は、見出しの数字と同じくらい重要だ。6月分は当初5万7000人増と発表されていたが、今回2万人増に修正された。本来であれば緩やかな減速を示すはずだった2カ月分のデータが、実際には雇用の増加が完全に止まったことを示す結果となった。
失業率の低下は、決して良いニュースではない
失業率は4.2%から4.1%に下がった。通常の経済拡大局面であれば、これは力強い数字だ。しかし今回は単なる算術上の作用にすぎない。労働参加率が再び低下したためだ。失業率は積極的に職を探している人だけを対象に計算される。求職をやめた人は計算そのものから外れるため、雇用が一つも生まれなくても数字上は改善してしまう。
労働参加率の低下と雇用者数の減少が同時に起きるという組み合わせは、当チームが単なる一時的な鈍化ではなく本格的な悪化のシグナルとして重視するパターンだ。一方の数字は仕事が見つからない人々を表し、もう一方は探すことすらあきらめた人々を表している。
なぜ株式市場は上昇したのか
平均時給は2セント上昇した。前年比の上昇率は3.2%まで下がり、これは2021年5月以来で最も低い水準だ。この数字こそが、この日の相場の流れを変えたと言える。
2026年の大半、市場が問い続けてきたのはFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに動くかどうかではなく、むしろ再び利上げに踏み切らざるを得なくなるかどうかだった。3.2%という賃金上昇率は、そのシナリオの重圧を大きく取り除いてくれる。CME FedWatchが示す、FRBが9月に動く確率は44%に、10月分は58.3%まで低下した。
債券市場はいち早く、そして明確に反応した。米2年債利回りは4ベーシスポイント以上低下して4.204%となり、7月17日以来の低水準を記録した。株式市場もこれに追随し、S&P500は0.3%高、ナスダック総合指数は0.9%高、ダウ工業株30種平均は67ポイント高となった。
当チームが今、実際に注視していること
反射的な受け止め方は「悪いデータ→金利面の安心感→株を買う」というものだ。この反応パターンはこの2年間機能してきたが、明確な期限つきのものでもある。弱い雇用データが企業業績を圧迫するスピードよりも、資金調達コストを下げるスピードの方が速いあいだだけ、このパターンは機能する。
正直なところ、7月のデータがそのどちら側に位置するのかは、まだ判断できない。下方修正付きの雇用者数減少が1カ月続いた程度では、リセッション(景気後退)とは言えない。しかし同時に、利上げを吸収できる経済の姿でもない。
以下の3点があれば、当チームの見方は変わるだろう。
- 雇用者数が減少を続けながら、労働参加率が安定すること。 これは弱さの原因が労働供給側ではなく労働需要側にあることを意味し、失業率は急速に上昇し始めるはずだ。
- 賃金上昇率が3%を下回ること。 その水準を下回れば、高金利を維持すべきだというインフレ面の論拠はほぼ消え、議論の焦点は完全に成長率へと移る。
- 2カ月連続でマイナスの結果となること。 1カ月分であればノイズと修正の範囲内で説明できる。しかし2カ月続けば、それはトレンドだ。株式市場は2回目の悪化を、今回のように好意的には受け止めないだろう。
現時点で市場は、勢いを失っていく労働市場の代償よりも、割引率が下がることによる恩恵の方が大きいと判断している。この取引には下支えがある――ただし、業績面のデータが雇用統計の示す内容を裏付け始めるまでの話だ。
