オン・ホールディングが発表した第2四半期の売上高は8億5030万スイスフランで、実質ベースで21.6%増加したが、市場予想の8億8140万スイスフランには届かなかった。1株当たり利益は0.31スイスフランで、予想の0.29スイスフランを上回った。直販(DTC)売上高は実質ベースで34.3%増加した。粗利率は65.4%まで拡大し、3.9ポイントの改善となった。
株価は20.29%安の30.91ドルで取引を終え、2021年の上場以来最大の1日当たり下落率を記録し、2年ぶりの安値に沈んだ。
四半期の概要
| 指標 | 2026年第2四半期 | 補足 |
|---|---|---|
| 売上高 | 8億5030万スイスフラン | 実質ベースで+21.6%、予想の8億8140万スイスフランに届かず |
| EPS(1株当たり利益) | 0.31スイスフラン | 予想の0.29スイスフランを上回る |
| 粗利率 | 65.4% | 前年同期比+3.9ポイント |
| DTC(直販)成長率 | +34.3%(実質ベース) | 全地域で予想を上回る |
| 2026年通期成長見通し | 20%台前半(実質ベース) | 従来の「23%以上」から下方修正 |
| 年初来 | −34% |
市場が問題視したのは四半期の内容そのものではない
表をもう一度見てほしい。利益率はほぼ4ポイント上昇し、直販チャネルは3割増、利益は予想超え。通常であれば、これは好決算と呼べる内容だ。
だが市場が再評価したのはたった一文だった。通期成長率の見通しが、従来の「23%以上」から20%台前半に引き下げられたという点だ。3年にわたりスポーツシューズ業界で最も成長の速いプレミアムブランドとして走ってきた企業が、年度の3四半期を終えた時点で「約束していた数字より小さくなる」と市場に告げたのである。
これが「予想を下回ること」と「評価の見直し」の違いだ。予想を下回れば1四半期分の利益を失うだけだが、見通しの下方修正は評価倍率そのものを失わせる。なぜなら、その倍率こそが成長率そのものだったからだ。
粗利率65.4%が示していること
単に悪い決算というより興味深い決算にしているのは、ここにある緊張関係だ。
粗利率65.4%とDTC成長率34.3%という数字は、価格決定力を持つブランドが自社チャネルを通じて定価でより多くの商品を販売している姿を描いている。これは顧客を失っている企業の特徴ではない。むしろ、卸売から自社店舗・自社サイトへと意図的に販売構成をシフトさせ、利益率を確保しながら顧客との関係を自社で握ろうとしている企業の特徴だ。
こうした構成の変化は、見出しの売上成長率を抑える一方で、その質を高める効果を持つ。卸売の押し込み販売は売上をまとめて計上するが、DTCは一足ずつ計上していく。今回起きているのがこれだとすれば、見通しの下方修正は戦略から生じた算数上の結果であり、需要の失敗を示す証拠ではない。
一方、悲観的な見方はもっと単純で、無視することもできない。すなわち、カテゴリー全体が正常化しつつあり、競合他社が技術面で追いついてきており、21.6%という数字こそが今の実力に近い成長率だという見方だ。
筆者の見方
どちらの解釈も今回の数字と矛盾しない。両者の答えを分けるのは、今後2四半期の地域別DTC成長率、とりわけ卸売が縮小する中で北米の成長が積み上がり続けるかどうかだ。
34%の下落を経た今、株価はもはや23%成長を前提としていない。ここに正直な魅力がある。成長鈍化という論争に対して、資金を投じる側ではなく、その論争を引き受ける見返りを受け取る側に立てるということだ。
ただ、たった1日の20%下落を調整の全てだと捉えるべきではない。年度中に見通しを引き下げた成長企業は、再度引き下げる傾向があり、市場もそれを承知しているため、その可能性を数四半期にわたって株価に織り込んでいく。私としては、見通しの下方修正がひとまず完了したと判断する前に、少なくとも一度は見通し数値が(上方修正ではなく)維持されるのを確認したい。
慎重に見極めたいリスクは、粗利率65.4%がこのストーリーの中で担っている役割の大きさだ。成長率が20%台前半にとどまる中で、値引き圧力によって粗利率が2ポイントでも失われれば、株式としての投資根拠は一気に厳しくなる。
