マッチグループが発表した第2四半期の売上高は8億5300万ドルで、前年同期比約1%減となった。純利益は36%増の1億7100万ドル、調整後EBITDAは14%増の3億3100万ドルだった。1株当たり利益は92セントとなり、市場予想を約5%下回ったことを受けて株価は下落した。
つまり同社は、売上高がわずかに減少する中で利益を大幅に伸ばしたにもかかわらず、市場はこれを好感しなかった。この組み合わせこそが、この銘柄をめぐる話のすべてだと言える。
決算の内訳
| 指標 | 2026年第2四半期 | 変化 |
|---|---|---|
| 売上高 | 8億5300万ドル | 前年同期比−1% |
| 純利益 | 1億7100万ドル | +36% |
| 調整後EBITDA | 3億3100万ドル | +14% |
| 1株当たり利益 | 0.92ドル | 市場予想を約5%下回る |
| ティンダーの売上高 | 4億5700万ドル | — |
| ティンダーのデイリーアクティブユーザー数 | — | −4%、過去10四半期で最良 |
第3四半期の売上高ガイダンスは8億8500万〜8億9500万ドルとしている。
経営陣が実際に取り組んでいること
2025年に最高経営責任者(CEO)に就任したスペンサー・ラスコフ氏は、ティンダーが抱える問題に直接向き合っている。同氏が示した計画は成長戦略ではなく、いわば「立て直し」計画であり、若年層のユーザーがスワイプ形式のマッチングを単調でプレッシャーの大きいものと感じているという具体的な診断に基づいている。
そこから導き出されたロードマップは次の通りだ。まず「ディスカバリー」機能を、より表現豊かで単調さの少ないものへと刷新する。本人確認と安全機能も強化する。さらにティンダーのAI導入や製品展開には約6000万ドルの予算が充てられている。そして「ティンダーイベント」を9月末までに26都市へと拡大し、アプリの中だけで完結せず、実際に人々が出会う場へと製品体験を広げようとしている。
この最後の取り組みは、見た目以上に重要な意味を持つ。マッチングアプリが抱える構造的な問題は、成功すればするほど顧客を失うという点にある。イベントは価値の単位を「マッチング成立」から「実際に出かける夜」へと転換させるものであり、これは繰り返し発生し得る価値だ。
投資判断を左右する数字
ティンダーのデイリーアクティブユーザー数は前年比4%減となった。10四半期前にはこの減少幅が10%以上に達していた。月間アクティブユーザー数の減少幅も、約12%から6〜7%へと縮小している。
減少幅の縮小は成長そのものではない。水準自体は依然として低下し続けているものの、その変化率が望ましい方向に動いているに過ぎない。ラスコフ氏は「前年比でのプラス成長はいつ実現してもおかしくない」と述べている。しかし実際にその数字が示されるまでは、ティンダーの実情を正直に言えば「ユーザー数の減少は続いているが、そのペースは緩やかになっている」ということになる。
投資家が支払っている対価
株価37.26ドルにおける時価総額は85億5000万ドル、実績PERは13.2倍、予想PERは12.4倍で、直近12カ月の売上高は35億1000万ドルとなっている。年間配当は0.80ドルで利回りは約2.2%。直近12カ月の純利益は7億780万ドルで、前年比31.6%増だ。アナリスト19人による目標株価の平均は41.81ドルとなっている。
利益が30%以上伸びている企業がPER13倍で評価されているのは、一見すると明らかな過小評価に思える。しかし、何が伸びていないのかに目を向けると話は変わってくる。売上高は横ばいのままだ。利益成長はコスト規律と利益率改善によるものであり、これらには限界がある。コスト削減だけで永遠に売上高を押し上げることはできない。
私の見立て
同社は潤沢なキャッシュを生み出す事業でありながら、市場からは衰退を織り込んだ倍率で評価されている。経営陣はコスト面では明確に成果を出しつつあるが、製品面ではまだ手探りの段階だ。この状況が今後たどる道は二通り考えられる。
ティンダーのユーザー基盤がプラス成長に転じれば、話は「安く売られている溶けゆく氷」から「溶けるのをやめた割安企業」へと変わり、安定化した事業に対するPER13倍という評価は本当の意味で割安だと言える。
一方、減少幅が−4%前後で高止まりするなら、利益成長は数四半期のうちに息切れし、PER13倍はゆっくりと縮小していく事業に対する正当な価格だったということになる。
配当と自社株買いがある以上、投資家は答えが出るのを待つ間、ささやかながら報酬を受け取れる。これがこの銘柄の実際の投資テーマだ。すなわち成長物語ではなく、配当という「クーポン」付きの安定化オプションである。私自身は、これを単なる減速ではなく本物の立て直しと呼ぶには、ティンダーのDAU(デイリーアクティブユーザー数)が実際にプラス成長へ転じる四半期を一度確認したいと考えている。
過小評価されがちなリスクは、マッチングという分野では製品上の問題と人口動態上の問題が同一のものである点だ。もしZ世代がスワイプ形式のマッチング自体から構造的に離れてしまっているのであれば、スワイプ機能の上にどれだけAIを重ねても解決にはならない。その場合、必要な修正はまったく別の製品を生み出すことになるだろう。
