AWSは2026年第1四半期に376億ドルの売上高を計上し、前年同期比28%増を達成した——15四半期ぶりの最高成長率である。この1つの数字が投資テーゼをすべて語っている。AmazonはAIへ向かうだけでなく、加速度的にスケールしており、Q1決算はここ2年で最も強力な強気シナリオを示した。
2026年Q1:業績の全容
連結売上高は1,815億ドルに達し、前年同期比17%増(前年は1,557億ドル)。営業利益は239億ドルへ増加(2025年Q1は184億ドル)。AWSは単独で141.6億ドルの営業利益を生み出し、営業利益率は37.7%——前年同期比約23%増で、市場コンセンサスの128.4億ドルを大幅に上回った。
広告サービスは前年同期比24%増の172億ドルに成長し、過去12ヵ月の累計広告収入が700億ドルを突破。設備投資(CapEx)は442億ドルに達し、2025年Q1の250億ドルからほぼ倍増した。
AWS:2026年の競合ポジション
2026年中頃時点でAWSは世界クラウドインフラ市場の約30%を保有し、Azureは25%、Google Cloudは13%。三大企業が合計で企業クラウド支出の68%を支配している。
AzureはAWSより高い成長率(30%超)で市場シェアを詰めており、2020年の15ポイント差から現在約7ポイントへと縮小している。Google Cloudは3社中最速で成長しているが、絶対規模ではまだ小さい。2026年Q1の注目点は、AWS成長率が28%へ再加速した点だ。要因はAIワークロードの本番移行であり、10万社超が今やAmazon BedrockでClaudeを使用している。
AI戦略:Anthropic、Trainium、Bedrock
Anthropic:Amazonはすでに投資した80億ドルに加え、最大250億ドルの追加投資をAnthropicに約束した。Anthropicは今後10年間で1,000億ドル超のAWSコンピューティングを利用し、Claudeの学習・推論向けに最大5GWの専用容量を確保することを約束した。Anthropicの年率換算収益は2026年に300億ドルを超え、2025年末の約90億ドルから急増した。
Trainium:Amazonの自社AIチップは2026年上半期に量産フェーズに入り、Trainium2とTrainium3の合算容量は年末までに1GW近くになる予定だ。TechCrunchによると、OpenAIとAppleもTrainiumの調達コミットメントを結んでおり、推論ワークロードにおけるNvidia H100への競争力を示している。
AWS Bedrock:BedRockは安全なクラウド環境でフロンティアAIモデルを展開するための標準的な企業ポータルとなった。Claude、Llama、Mistral、Titanと30以上のサードパーティモデルをサポートしている。
広告:見えない利益エンジン
Amazonの172億ドルの広告収入はAWSと比べて注目度が低いが、詳しく見る価値がある。24%の成長はアナリストの21%予測を上回り、過去12ヵ月の累積収益が700億ドルを超えたことでGoogle SearchやMetaに匹敵する規模感を示した。構造的優位性は実際の購入履歴を用いたターゲティング——GoogleもMetaも完全には再現できない精度だ。
バリュエーション:強気・弱気シナリオ
AMZNは2026年5月中旬時点で予想PER約32倍で取引されており、株価は史上高値近くの265ドル前後で推移。アナリストのコンセンサス目標株価は約306ドルで、Mizuho(325ドル)、BMO(315ドル)がQ1後に目標を引き上げた。
強気シナリオ:28%成長・37.7%営業利益率のAWSだけで現在の時価総額のかなりの部分を正当化できる。年率700億ドル超・24%成長の広告事業が補完する。AmazonはAI拡大を自社の営業キャッシュフローで賄っている。
弱気シナリオ:予想PER32倍は成長継続を前提とする。AWS成長が20%に鈍化すれば倍率は急速に収縮する。442億ドルの四半期CapExはAIワークロード需要の持続への大きな賭けであり、企業AI普及が予想より早く鈍化すれば過剰設備を抱えるリスクがある。
私のポジション:AMZNをAIインフラテーマの長期コアポジションとして保有している。AWSの再加速、Anthropicとの戦略的深化、Trainiumシリコンへの賭けは、予想PER32倍では完全には織り込まれていないと考えるテーゼを形成している。
結論
AWSの28%成長は偶然ではない。企業需要が転換点を迎えるタイミングで、AIインフラに積極的な投資を続けた必然の結果だ。Anthropicパートナーシップ、Trainiumチップ、Bedrockプラットフォームは単一四半期の異常値ではなく複利効果をもつ戦略資産だ。
株価は割安ではない。予想PER32倍と四半期442億ドルのCapExは、実行力への対価である。しかしAmazonにはその期待に応えるための財務力、営業レバレッジ、そして戦略的ポジショニングがある。私はロングポジションを維持する。
— Ruslan Averin, averin.com
